スーパーゼネコン5社を徹底比較|得意分野・代表建築物・海外展開の違い

建設情報

「スーパーゼネコン」という言葉を聞いたことはあっても、

実際にどんな会社があり、それぞれ何が得意なのかを明確に説明できる人は多くありません。

スーパーゼネコンとは、

日本の建設業界を代表する5大企業――鹿島建設・大林組・大成建設・清水建設・竹中工務店の総称です。

国内の大規模公共事業や超高層ビル、インフラ整備から海外プロジェクトまで、

あらゆる分野で圧倒的な実績を持っています。

本記事では、この5社について

  • 得意とする分野
  • 代表的な建築物
  • 海外展開の特徴
    を比較しながら解説します。

就職・転職活動や業界研究を進めるうえで、

自分に合う企業を見極める参考資料としてご活用ください。

スーパーゼネコンとは?

「スーパーゼネコン」とは、

日本の建設業界において規模・実績ともに国内トップクラスの総合建設会社を指す俗称です。

明確な法的定義はありませんが、

一般的には以下の条件を満たす企業が該当します。

スーパーゼネコンの定義(一般的な基準)

  • 売上高:1兆円規模
  • 従業員数:数千~1万人以上
  • 事業範囲:建築・土木を全国・海外で展開
  • 案件規模:国家的プロジェクトや超高層ビル、大規模インフラ

スーパーゼネコン5社

日本では以下の5社が「スーパーゼネコン」と呼ばれています。

  1. 鹿島建設(かじまけんせつ)
  2. 大林組(おおばやしぐみ)
  3. 大成建設(たいせいけんせつ)
  4. 清水建設(しみずけんせつ)
  5. 竹中工務店(たけなかこうむてん)

なぜ「5社体制」なのか?

戦後の高度経済成長期から大型公共事業が相次ぎ、

上記5社は国内外で豊富な実績と資金力を確保。

この規模で全国・海外展開を行える企業は限られており、

長年「スーパーゼネコン5社体制」が続いています。

スーパーゼネコン5社 比較表(概要)

企業名売上高(連結)※従業員数得意分野代表的建築物海外展開の特徴
鹿島建設約2兆3,000億円約7,800人超高層ビル、大規模土木(トンネル・橋梁)東京スカイツリー、羽田空港第2ターミナル東南アジア・北米に強い
大林組約2兆円約8,000人超高層建築、都市再開発、環境配慮型建築あべのハルカス、東京国際フォーラム東南アジア・豪州での実績多数
大成建設約1兆8,000億円約8,500人インフラ整備、空港・港湾、耐震技術羽田空港第3ターミナル、東京ドーム中東・東南アジア・欧州に展開
清水建設約2兆円約10,000人高層建築、文化施設、環境建築国立新美術館、日本武道館改修東南アジア・米国・アフリカ進出
竹中工務店約1兆3,000億円約7,000人デザイン性の高い建築、文化・商業施設東京タワー、大阪市中央公会堂東南アジア中心、設計施工一貫型

※売上高・従業員数は2024年度時点の公開資料をもとに概算。

各社の特徴詳細

鹿島建設

得意分野

  • 超高層ビル、トンネル、橋梁などの大規模土木
  • 震災復興工事やインフラ整備にも強み
  • 高度な耐震・免震技術

代表的建築物

  • 東京スカイツリー
  • 羽田空港第2ターミナル
  • 首都高速湾岸線(大井連絡橋)

海外展開

  • 東南アジア、北米での長期拠点あり
  • 米国子会社「Kajima USA」を中心に海外プロジェクト多数
  • 高速道路・港湾などのインフラ案件に実績

大林組

得意分野

  • 超高層建築、都市再開発
  • 環境配慮型建築(ZEB:Net Zero Energy Building)
  • 鉄道・道路など都市インフラ

代表的建築物

  • あべのハルカス(日本一高いビル)
  • 東京国際フォーラム
  • 東京外かく環状道路(外環道)

海外展開

  • 東南アジア、豪州に強い
  • シンガポールで地下鉄工事、オーストラリアでトンネル案件
  • 再生可能エネルギー事業にも参入

大成建設

得意分野

  • 空港・港湾整備、インフラ土木
  • 耐震・免震技術に強み
  • 環境建築(エコロジーオフィス)

代表的建築物

  • 羽田空港第3ターミナル
  • 東京ドーム
  • 東日本大震災復興関連施設

海外展開

  • 中東(ドーハ国際空港)や東南アジア(シンガポール空港)など空港案件多数
  • 欧州での橋梁・港湾整備にも実績

清水建設

得意分野

  • 高層建築、文化施設、環境建築
  • ZEBや再生可能エネルギー関連建築
  • 大規模改修・リニューアル

代表的建築物

  • 国立新美術館
  • 日本武道館改修
  • 東京駅丸の内駅舎保存復原

海外展開

  • 東南アジア(シンガポール、ベトナム)
  • 米国(高層オフィス・商業施設)
  • アフリカでのインフラ案件

竹中工務店

得意分野

  • デザイン性の高い建築(設計・施工一貫)
  • 文化施設、商業施設、宗教建築
  • 歴史的建造物の保存・修復

代表的建築物

  • 東京タワー
  • 大阪市中央公会堂
  • 東京ドームホテル

海外展開

  • 東南アジア(タイ、マレーシア)に強い
  • 設計・施工一貫型で現地プロジェクトを展開
  • 現地文化に配慮したデザイン提案が強み

まとめ|自分に合う会社を選ぶ視点

スーパーゼネコン5社は、

いずれも日本の建設業界を代表するトップランナーです。

規模や実績では共通点が多いものの、

得意分野・企業文化・海外戦略には明確な違いがあります。

会社選びのヒント

  • 大規模インフラ・超高層ビルに関わりたい → 鹿島建設、大林組
  • 海外プロジェクト志向が強い → 大成建設、鹿島建設
  • 文化施設や意匠性の高い建築に興味がある → 竹中工務店、清水建設
  • 環境建築・ZEBに関心がある → 大林組、清水建設

スーパーゼネコンは高待遇でやりがいも大きい反面、

全国転勤・長時間労働・プロジェクトのプレッシャーといったハードさもあります。

志望する際は、説明会やOB訪問、現場見学を通じて、

自分がその環境で長く働けるかどうかをしっかり見極めることが大切です。

どの会社も日本の街やインフラを形づくる大きな力を持っています。

その中から自分に合う1社を見つけ、「働きがい」と「自分らしいキャリア」の両立を目指しましょう。

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